私の前世はユダヤ人・・・。
小さいころからそう信じていた。
それは、繰り返し繰り返し見た夢の中の出来事。
幼い私は、家族と隠れ家に住んでいる。
その隠れ家が見つかり、裏口から出た私たちは明け方の街を必死で逃げまわる。
途中家族とはぐれた私は幼馴染の男の子と手をつなぎ必死で薄暗い街の中を走った。
灰色の街の中、大きな建物の角を曲がると・・・そこには鉤十時の軍服姿の2人の大人が・・・。
そこでいつも目が覚める。
その後2人はどうなったのか・・・その先は一度も見たことがない、不思議な夢。
中学生になって見なくなったが、それはもしかしたら幼いころに無意識で見たTVのイメージがそのまま残っているのかもしれない。
でも、その皮膚感ははっきりと私の感覚としてリアルに存在している。
先日私の知人が腕にナンバーを彫られているユダヤ人夫妻と知り合った。
彼らは強制収容所に入っていたときにナンバーを彫られたそうだ。
仲間が一人一人どこかに送られてゆく中、ギリギリで戦争は終わった・・・。
しかし、その腕には紛れもない歴史が刻み込まれている。
私も彼らと同じ収容所にいたかもしれない。
そう思うと、夢で感じたあのリアルな感覚が、胸を切り裂く。
戦争の傷跡・・・戦争を知らない私たち世代にも、絶対感じる瞬間はあるはずだ。
歴史は消えないから・・・。