明日から始まる俳優座公演「舞姫」を観てきた。
加藤剛さん主演のこの舞台には、特別出演として息子の大治郎さんが出ている。
彼とは「アカシアの町」で一ヶ月オールロケの現場で一緒だった。
本当に不思議な「青年」である。
・・・っていうか、「青年」という言葉も今はほとんど使わないが、大ちゃんにはこの「青年」と、呼ぶべき人物だと思う。
「皇族」みたい・・・。
いつも穏やかに微笑んでいて、「大ちゃん」と声をかけたら優しく手でも振ってくれそうな感じ。
俗っぽいところが見つからない。
「アカシアの町」のロケのときも、山道でちょっと足を滑らせると、にこやかな笑顔で「大丈夫?」と手を差し伸べてくれた。
そんなのは当たり前のこと。他にもいろいろエピソードがある。
その中の一つを・・・。
映画の中に誰もが「あのシーンいいね」と言ってくれた、お墓のシーンがある。
そこで、大ちゃんが本業のサックスを演奏するのだが、ロケ地は本当の無縁仏の墓。
しかも、地面の下全てが実際のお墓、という状況だった。
2日間に渡り、その1シーンの撮影を撮り終えたのだが、撮影が終わった後、小道具の花を見て大ちゃんがスタッフに聞いた。
「この花どうするんですか?」
助監督がすかさず「あぁ、欲しかったら部屋で飾っていいよ!」。
すると、大ちゃんは微かに笑みを浮かべ、「いえ、ではこのお花をこの地面に下にいる仏様に捧げてください。お願いします。」
連日に及ぶ撮影が一段落し、みんながホッとしている中、大ちゃんは足の下にいる人たちのことをずっと考えていた。
そんな大ちゃんだが、何かの折に一度だけ「チクショー!」と言ったのを聞いたことがある。
ふふふ。なぜだかとても嬉しかった!
でも、その「チクショー」も怖くはなかったけど・・・。
またぜひ言わせて見たいものだ。