出来上がった衣裳を合わせにいった。
すると衣裳部さんに「聖子さんは体型が変わらないわね」と言われた。
え!とんでもない!
そういえばよく人から「細くていいね」「太らないでしょう?」と言われる。
私の昔を知ってる人たちは大笑いするだろう。
正直に言おう、はい、私は太っていた。
俳優座の研究生くらいまでは本当に太かった記憶がある。
最高期は今より15キロ近く重かった。
だから、若い子で「私なかなかやせないんです」と言っている子には笑顔で「大丈夫、ある年齢過ぎれば自然にやせるようになるよ」と自信を持っていえる。
今、無理してやせることはない、と。
その当時、このごろ体が重いなぁ・・・と思っていはいたが、体重計に乗るのが怖くって自分の体重を把握していなかった。
そして、友人と夜中のファミレス生活をエンジョイしていた。
ある日、電車の中で足を組もうとしたらなんと組みにくい!!!
手で介添えしなければ足がきちんと組めない。
そこで初めて恐怖を感じ、恐る恐る体重計に・・・・。
なんと62キロ!!!!
今の私しか知らない人はみんなびっくりする体重。
いやいや、私自身も驚いた。
重くなってるとはいえ、60キロを超えるとは・・・。
そこから、涙ぐましい努力が始ま・・・・ったわけではなかった。
ただ、唯一気をつけたのは夜中のデニーズ通い。
友達に誘われても、それだけは断った。
すると1ヵ月で見事7キロ減に成功!
初舞台のときに、一着、私のためにピンクのドレスを作ってもらった。
しかし演出家から直前に「違うドレスにするように」という指示があり、そのピンクのドレスはお蔵入りとなってしまった。
時は流れ、6年後「十二夜」の初演のとき、その衣裳と対面することなった。
衣裳部さんが「あなたのために作ったんだから」ということで、倉庫から出してきてくれたのだ。
そのピンクのドレスは採用が決まり、寸法直しをしてみると・・・、うわ!ガボガボ!!
かなり寸法をつめることになってしまった。
6年前はそんなに太ってると自分では思っていなかったが、月日が経つと確実に体型も変わるらしい。
今回、2年前の初演の時の衣裳、きつかったらどうしよう・・・と思い、今回衣装合わせをしたが、以前の衣裳は無事体に合った。
些細なことだが、こんな小さなことに安堵の息をもらし、ちょっぴりうれしかった。
そういえば、研究生のころの私は、発表会のたびに衣裳部さんに衣裳のサイズを大きくしてもらっていた。
当時は衣裳さんも大変だったと思う。
女性にとって、体型と体重はいつも頭を悩ますもの。
でも、あまり神経質にならず、のんびり構えるのが一番いいのかもしれない。
何か集中できるものがあれば自然に体重は落ちるものだ。
・・・・な~んて、甘いものが大好きな私は、ちょっぴり自分にも甘い。