今回の芝居は、昭和43年に起こった金嬉老事件を基に描かれた作品です。
この金嬉老事件、知れば知るほど…興味深いっ!
こんなことが昭和40年代に起こっていたなんて…そりゃ、みんなテレビに釘付けになりますね。
人を2人殺したあと、旅館に立て籠り、経営者と宿泊客13人を人質として籠城。
人質解放の条件として、差別的発言をした警察官がテレビの前で謝罪すること。
籠城生活の中で育まれた人質たちとの妙に人間的な交流や記者団とのやり取り、テレビ謝罪の様子など、時系列を辿って流れを知るととても不思議な気持ちになります。
文化人と称される方々に動きは、時が過ぎた今となっては本当にバカバカしい。
弁護士、大学教授、作家など、当時の著名人たちがその旅館を訪れ激励をしたそうです。
「金さん、私はあなたの心の中にダイヤモンドを見つけました」
「あなたは立派な文学者だ」
…なんと、泣いた人もいるらしい。すごいね。
今もワイドショーでいろんなことを批評する、コメンテーターたち…。
40年以上経っても変わらないですね。
日本で初めて劇場型犯罪と言われた金嬉老事件。
知れば知るほど興味深く…しかしその背景には民族間の問題や、安保問題など大きな時代のうねりに翻弄される歴史があることがわかってきます。
芝居は決して金嬉老事件そのもののストーリーではありませんが、この事件を知ってから観ると、もっともっと楽しめるはずです。