いえいえ、鳥ではありません。
本です。本のタイトル。
重松清 「とんび」
インドから帰る飛行機の中で読み続け…周りの目も気にせず号泣していました。
重松作品は、なんとなく甘くできていて…物足りない人もいるかもしれないけど、でも、登場人物の全てに自分が投影されてる、そこにやられてしまいます。
この「とんび」。
親父のヤッちゃんも息子のアキラも、自分の中に「あるある!」がいっぱい。
この年になって読むからよけいかもね。
親父ヤッちゃんは不器用で、偏屈で、熱くって、照れ屋で、純粋で、ヘタクソで…。
子供の頃「大人」って大人だと思っていたけど、自分が今になってこの年になると「大人」っていうものには人間はいつまでたってもなれないのではないかと思ってしまうほど。
家族に対して意地を張るさまや、言ってはいけないと解りつつ相手が傷つくまで攻撃してしまうことや…。
どうしてこうなっちゃうんだろうと思いながら、家族に対してぶつかるダメ親父。
大切な時ほど、何も言えなく逃げてしまうダメ親父。
一方、息子アキラ。
思春期の自分一人で大きくなってきたかのような振る舞い、
ちょっと成長するときの親を下に見るような態度、
そして都会に出たてからの未来への浮かれ方…。
全て自分のたどってきた道の一部のような気がして…。
その時はもちろんそんなこと思っていなくても、今振り返ると、これは私も同じだった!と思うことがどちらにもたくさん散りばめられています。
親父の気持ち息子の気持ち、両方を痛く、切なく、そして温かく感じながらの時間でした。
何で今頃こんな話題かというと…
NHKでドラマになったんです、先週から二週に渡って…。
それがあまりにもあたしにはガッカリだったので(笑)つい書きたくなっちゃった。
役者陣のせいではなくってね、きっと最初から原作に忠実に創る気はなかったんだろうな、と思うような作り方。なので、ドラマ単体だと悪くないのかもね。
でも、私は原作のヤッちゃんとアキラを知っていたので…ガッカリ。
みんなのダメな感じがあまりにもなくってね。
人間って、いつまで経ってもきっとダメダメで…
そうやって、もがいて必死になって生きているからこそ、愛すべき存在になっていくんでしょうね。
是非、「とんび」、本でお読みください。